予防歯科
義務?任意?実は知られていない歯科検診の違いって
新年度や新学期が始まると、歯科検診の案内を目にする機会が増えてきます。お子さんの学校検診はもちろん、地域や企業、年齢によってさまざまな検診制度があるのをご存じですか?また、歯科検診は単なるむし歯チェックにとどまらず、将来の健康にも深く関係しています。
前回、学校検診については『学校検診、紙もらってしまったら???』で詳しく説明しました。では、日本ではどんな種類の歯科検診があるのでしょうか?
今回は特にかとう歯科クリニックのある大阪市における歯科検診の種類とその目的をわかりやすくご紹介します。
自分や家族がいつ、どんな検診を受けるべきかを知って、口腔の健康を守る第一歩にしてみましょう。
☆ 健診と検診 ☆
そもそも、健診と検診の違いはなんなんでしょうか?
健診とは歯や口腔内状態を調べ全体で行うスクリーニング検査です。検診とは治療や歯周病などの目的とした歯科医院等で行う検査のことです。
☆ 1歳半検診 ☆
むし歯予防はここからスタート!

1歳半検診は産まれてから最初の歯科検診になります。1歳6ヶ月を超え2歳未満の幼児が対象となっており、近くの保健福祉センターで実施されます。
1歳半検診の1番の目的としては子供の歯の事について知ってもらう事となります。もちろん、歯の本数や歯並び、むし歯の有無はチェックします。しかしそれ以上に食事のとり方や歯ブラシの仕方、口腔習癖についてを知ってもらい今後、むし歯などになっていかない為にどうしていくかを知ってもらうきっかけの場です。やはり、1歳半から2歳半位はむし歯菌が定着していく時期ですのでこの時期に正しい食べ方やブラッシング方法を知ってもらうことが今後のお子様の一番のむし歯予防となります。
☆ 3歳児検診 ☆
乳歯列の完成と噛み合わせの確認!

3歳児検診は満3歳を超え満4歳に達しない幼児が対象となる検診です。最初に説明した1歳半検診と、この3歳児検診は母子保健法に定められた検診で受診義務がある検診です。
3歳児検診の目的としては乳歯列が完成した3歳児において、噛み合わせに問題がないか、受け口になっていないかなどを確認します。また、食生活にも変化がおき、虫歯になりやすい時期となって来ますのでむし歯の有無もチェックしていきます。この時期にしっかり検診を行っておかないと将来永久歯や歯並びに影響を与える可能性が出てきます。早期に発見し、適切な対応をすることが大切です。
☆ 学校歯科検診 ☆
成長に寄り添う年次チェック!

学校歯科検診は以前の『学校歯科健診と歯科医院の検査の違い』のブロブでも説明しましたが、児童・生徒の歯と口の健康状態を把握するために、毎年1回、学校で行われる健康診断です。詳しくは前回のブログを読んでください。
学校歯科検診ではむし歯の有無や歯並びの状態の他にも歯周組織の状態や顎関節の状態も検診項目に入ってきます。小学校から高校まで一貫して検診を行うことでその子の健康状態の把握する事ができ早期発見、早期治療を行うことが可能です。
☆ 企業歯科検診 ☆
働く人の健康とパフォーマンスを支える!

学校歯科検診が終わると基本的には義務付けられている歯科検診というものはありません。一般社会で働いている人は会社が健康診断を一年に一回行う義務があります。しかしながら、今現在特定の仕事以外の人はその項目に歯科は含まれていません。2025年以降(国民皆歯科検診)になる可能性が高いと言われています。なので企業歯科検診の検診方法などの決まり事はありません。大手企業では、歯科や医科が企業内に併設している企業もありますが、ごく僅かです。多くの企業では従業員に歯科医院を受診してもらいその費用を負担、もしくは補助する形をとっています。
企業歯科検診の目的は、他の検診と同じで従業員の歯科疾患の早期発見・治療を促し、従業員の健康意識を高めることで、生産性向上や企業イメージの向上につなげることができます。また、従業員にとっても、口腔の健康状態を把握し、早期に治療を受けることで、全身の健康状態の改善や、将来的な歯科疾患のリスクを低減することができます。
☆ 歯周疾患検診 ☆
節目年齢で見直すお口の健康!

この他にある検診としては歯周疾患検診があります。この検診は住んでいる地域や場所によっても異なりますが、大阪市では20歳、25歳、30歳、35歳、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳の節目年齢の市民に対して行っています
この検診の目的としては検診名にあるように歯周病の早期発見・早期治療を目的とした検診です。この検診は勤務先などで検診を受けてない方が市内の指定医療機関の歯科医院を受診し1回500円で受けれることが可能です。検診方法としては口腔内検査を行い歯周組織の状態を詳しくチェックを行います。あくまで、検診ですのでその後の治療や精査は各自の保険負担となってきます。なので、この検診の目的としてはどちらかというと歯科に受診していない方に対する動機付けになる事の方が多いと思います。
☆ 後期高齢者歯科検診 ☆
生涯現役のための口腔ケア!

75歳になると後期高齢者歯科検診があります。この検診は1年に1回実施されます。他の検診と違うところは、QOLの確保及び生活習慣病の早期発見による重症化予防等の観点から実施されているところです。つまり歯周病を起因とする細菌性心内膜炎・動脈硬化症等の悪化、口腔機能低下による嚥下性肺炎等を予防するために高齢者の特性を踏まえた歯科検診です。なので、他の検診と同様、歯周病に対しての検診項目はありますが日常生活に対して、咀嚼能力評価、舌機能評価、嚥下機能評価などがあります。
☆ その他の検診 ☆
妊婦・有害物質取扱者向けの特別な検診!

上にあげた検診以外に特定の人が受ける検診としては、女の人が妊娠中にうける妊婦歯科検診や、労働安全衛生法に基づいて、特定の有害物質を取り扱う業務(塩酸、硝酸、硫酸などの有害物質)に従事する労働者に対して行う特殊歯科検診などがあります。
☆ まとめ ☆
このように、義務付けられている検診の他にも色々な検診があります。どれも“早期発見・早期治療”のために欠かせない大切な機会です。
健診はスクリーニング検査で正確には歯科医院を受診して『検診』を行う必要があります。
また、検診をきっかけに定期的にメンテナンスに通うことも大切です。
むし歯にもならず、なったとしても早期発見、早期治療を行い自分の歯で一生好きな物を噛む事が大切です。ご自身のライフステージに合った検診を知り、気軽に受けてみませんか?
かとう歯科クリニックでも地域で実施されている各種検診に対応しており、お子さまからご高齢の方まで、幅広くサポートしています。お気軽にご相談ください。