ブログ

被せ物、保険と自費と何が違うの?

 前回のブログ「むし歯を放置して痛みが出てきたら???」では、根管治療について説明しましたが、根管治療を終えても治療が終わりではありません。というのも、根管治療は根っこの中を詰める処置です。神経をとった歯は破折のリスクや、再感染のリスクが増える為、その後、被せ物をしないといけません。被せ物を入れ噛み合わせをつくることで、ようやく治療が終わりになります。今回は、被せ物の種類とよく質問される自費と保険の違いについて説明したいと思います。

 根管治療を終えてそのまま被せ物の型を取るかというとそうではありません。その前に、むし歯などで無くなった歯を補強してあげなければ被せを入れる事ができません。その為、土台を入れる必要があります。土台の入れ方は主に3種類あります。

 メタルコア;根管の形を形成し型をとり金属で土台を作製します。保険で使われている主な方法でメリットとしては丈夫であることがあげられます。デメリットとしては、金属の色が透けたり、丈夫過ぎる為、歯に負担がかかりすぎると歯の破折を引き起こします。

③ ファイバーコア;メタルコアと同じく根管の形を形成し型をとりこれはグラスファイバーで土台を作製します。メリットととしては、金属を使用しないことから、審美性を求められる場合や金属アレルギーの人に使用しできます。また、メタルコアとは違い適度にしなってくれるので歯の破折のリスクはメタルコアより少なくなります。

 土台が装着されると次は形を整え最終的な被せ物の型をとります。最終的な被せ物には色々な種類が存在します。

保険適応

☆ 臼歯部(奥歯)

 FMC ; いわいる金属の被せ物です。材質は金銀パラジウム合金、チタン合金などがあります。金属なので審美性はおとりますが、薄く、丈夫に作製することが可能です。

② CAD/CAM ; 近年(2014年から)でてきたコンピューター上で設計しブロックから削り出すことで作製される白い被せ物です。セラミックとプラスチックの間ぐらいの強度があります。メリットとしては、審美性が金属に較べて良好であることがいえます。デメリットとしては、金属は薄くても割れないですが、破折や脱離の可能性があります。また、強度を出す為、金属より切削量が多いのがあげられます。2023.12より第二大臼歯にも保険適応になりましたがまだ材料があまり普及していないのが現状です。

☆ 前歯部

 レジン前装鋳造冠 ; 金属の被せ物の上にプラスチックを焼付けて作製します。プラスチックの性質上、経年的に色が黄ばんできます。また、プラスチック部分の脱離、破折の可能性があります。保険で製作される前歯はほとんどがこれになります。

② CAD/CAM ; 臼歯同様、前歯部でも製作することが可能です。グラデーションのブロックを使用しますが色が決まっており、色の微調整や色合わせが非常に困難です。

保険外

☆ 臼歯部(奥歯)

① ゴールド ; 保険で作製されている金パラ(金銀パラジウム合金)を金合金で作製したもの。生体親和性がよく、適合性も非常に良いのが特徴。薄くて丈夫。また、硬さが歯に近似しているので咬み合わせる反対の歯にも優しいのが特徴。デメリットとしてはどうしても金属なので白色の歯を求める人には審美的に劣る。

 CEREC ; セラミックの一つ。セラミックの中でもガラス成分が多い為、透明感があるので周りの色調と同化することができる。セラミックの中でも、強度は低いので摩耗していく為、破折するリスクがある。なお、当院では、精度の高い技工物を作成するためにセレックシステムも導入しています。

 E-MAX ; ガラスセラミックの一つ。ニチイ酸リチウムガラスセラミックでできておりかなりきれいに製作することができる。強度はジルコニアには劣る。前歯部や部分的な詰め物でおすすめ。

 ジルコニア ; 人工ダイヤモンドにも使用されておりとにかく強く白いのが特徴。その為、最近では金属ぐらいの厚みでも作製可能となってきた。審美性はE-MAXには劣るが良好である。臼歯部の噛み合わせの強い人や割れたくない人におすすめ。

 セラミックで共通して言えるデメリットとして、金属とは違い破折する可能性は絶対無くならないということです。セラミックは耐熱性、耐摩耗性、耐腐食性という点において優れていますが、対してその最大の短所は「脆さ」です。つまり、陶器の食器をイメージしてもらえればいいんですが、陶器のお皿は変色もせず硬くて割れにくいですがふと手にした瞬間に割れる時があると思います。このイメージです。

まとめ

 このように、被せ物と言っても色々な種類があります。保険で製作される被せ物が悪いわけではありません。しかしながら保険内で使える材料やセメントなどが決められてるのが現状です。保険外で製作する方が、型を取る事を一にしても使える材料の種類や精度が良いので結果的には良いものが出来上がってくるのは事実です。

 メリット、デメリットを理解したうえで自分に合った被せ物を選択する事が重要です。詳しくは審美歯科のページもご覧ください。