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大人の歯ぎしり、くいしばり

前回、子供の歯ぎしりについてお話させていただいたので今回は『大人での歯ぎしり、くいしばり』についてお話したいと思います。

子供では歯ぎしりをしていてもそこまで問題ないと説明しましたが、大人での歯ぎしりは悪いことはあっても良いことは何もありません。大人での歯ぎしりは積極的に予防や対策をしていく必要があります。

☆歯ぎしりの原因

歯ぎしりを引き起こす原因は大きく分けて2つに分かれます。1つ目はストレスなどによる精神的疲労によるもの。2つ目は嚙み合わせによるものです。

1つ目の精神的疲労によるものはストレスや精神的疲労により睡眠の質の低下により引き起こされているといわれています。これには、過度の飲酒や喫煙による睡眠の質の低下も含まれます。

2つ目の嚙み合わせによるものは虫歯や歯周病によって噛み合わせが変化した場合、強く接触するところが出てきた時や被せや詰め物の高さが高かった時に生じることが多いといわれています。

☆ 歯ぎしりの種類 ☆

一般にはぎしりと言っても厳密には何種類かに分かれています。

① グライデイング

一般に歯ぎしりと言われているもので歯をこすり合わせる症状の事をいいます。就寝中に起ることが多くギリギリとした音をだします。

② クレンチング

歯を噛みしめている状態の事をいいます。クレンチングでは音はあまりなく、就寝中だけではなく日中でも集中している時に無意識のうちにしてしまっている事があるのが特徴です。

③ タッピング

歯ぎしりの中では一番頻度は少ないですが、上下の歯をカチカチぶつけ合う状態のことを言います。1番頻度は少ないですが歯や顎にかかるダメージは大きいといわれています。

☆ 歯ぎしりによる症状 ☆

では実際、歯ぎしりをしてしまった時どのような症状が出てくるのでしょうか。

①歯の破折やすり減り

通常、1本の歯にかかる力は大体その人の体重ぐらいといわれています。しかし、歯ぎしりは無意識のうちに行っているので、1本の歯にかかる力は体重の5~15倍かかってきています。その為、歯のエナメル質(歯の表層の白いところ)が歯の形にすり減ったり、薄くなると破折したりしてきます。

②知覚過敏

上記で説明しましたが、歯のエナメル質がすり減ったり破折すると象牙質(歯の根っこの部分)が露出することにより知覚過敏症状がでてきます。

また、歯は基本的に痛みしか感じません。ですので、一定以上の強い力がかかると知覚過敏や噛むと痛いなどの症状がでてきます。

③頭痛、肩こり

物を噛む時には色々な筋肉を使用して歯で咀嚼します。つまり、歯を噛むときには筋肉を使っています。当然のことながら歯ぎしりではそれらの筋肉に強い負担を強いることになります。噛む筋肉はこめかみや首、肩につながっている為これらの部位に負担がかかり頭痛や肩こりが引き起こされます。

④顎関節症

顎関節症とは口を開ける顎関節に痛みが出たり口が開けにくくなったりする病気です。基本的に歯に負担がかかる事は顎関節にも負担がかかります。歯ぎしりにとって引き起こされる顎関節症はクレンチングによって引き起こされることが多いとされています。

☆ 歯ぎしりの対策 ☆

日中の対策

まずは、日中に噛みしめてないかを意識して確認しましょう。日中にしているのは主にクレンチングが多いです。主に集中している時や、パソコンやスマートフォンを操作している時に無意識に噛みしめている人は意外と多いです。

歯の噛みしめに気が付いたら1度リラックスして上下の歯を離しましょう。パソコン等の横に『噛みしめない』と書いとくのも有効的です。基本的に歯と歯を接触させない状態を作りましょう。

夜の対策

基本的にストレスを溜めないようにして睡眠の質をよくする事が大事です。自分にあったストレス解消法をみつけましょう。なかなか見つけるのが難しい人は就寝前にストレッチをしたり、過度な飲酒やカフェインの摂取を控え睡眠の質を向上させましょう。

歯科医院での対策、治療法

口腔内検査を行い、詰め物や被せ物の高さがあっていない場合や虫歯や歯周病により噛み合わせが悪くなっている場合はそれらの治療を行い全体の噛み合わせを調整する必要があります。

また長年の歯を使用したことで歯がすり減って歯ぎしりが生じている場合も補綴や噛み合わせを調整し歯本来の機能を回復させる必要があります。

☆ マウスピース(スプリント)の作製 ☆

実際、就寝中の歯ぎしりはストレスを減らす事が難しい為、治すのがとても困難です。

なので、治療として一番用いられるのがマウスピースの作製になります。マウスピースを装着し物理的に上下の歯が直接当たらないようにします。そうすることで歯や顎などにかかる負担を減らすことで歯を守ります。

マウスピースは歯科医院で保険治療で作製できるので自分の歯にしっかり合ったものを作製するのがお勧めです。市販でも作製は可能ですが、逆に特定の歯に負担がかかったり、適合が悪い為、朝起きたら外れたりするためです。

このように、大人の歯ぎしりはいいことは何もありません。そして基本的には自分で治すのが困難な事が多いです。なので歯科医院での適切な処置や原因を知ることがとても大事になってきます。

当院では軽度の場合、生活習慣の見直しを行い、基本的にはスプリントの作製を行っております。

スプリントの作製した場合、しっかりとした噛み合わせの調整等が必要になってきます。

また、はぎしりとはその性質上、長く付き合っていかないといけない場合が多い為、スプリントを装着した場合、2日に1回とかでも構わないので出来るだけ負担の無い範囲で長く使用してもらえるように指導さしていただいてます。

また、歯ぎしりをしているか判らないという人も一度歯科医院を受診し歯の状態をみてもらいましょう!